うっかり130万円超えたらどうなる?扶養についても解説

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扶養内でパートやアルバイトで働かれている方で、年収130万円の壁を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。

本記事では、うっかり年収130万円を超えてしまったらどうなるのか、また年収130万円以外の壁についても解説していきます。

うっかり130万円を超えてしまったらどうなる?

扶養内でパートやアルバイトで働いている方がうっかり年収130万円を超えてしまったらどうなるのでしょうか。詳しく解説していきます。

自分で健康保険料や年金保険料を支払うことになる

給与収入が130万円を超えると、扶養ではなくなり、健康保険料と年金保険料を支払う必要が出てきます。

健康保険・お住まいの市区町村の国民健康保険
・勤め先の健康保険(労働時間や勤務日数が正社員の4分の3以上に該当する場合) いずれかに加入して、保険料を支払う。
年金・国民年金保険料を支払う
・勤め先の厚生年金に加入する いずれかを選択する

パート勤務などの場合は、勤め先の健康保険に加入できるか確認してみましょう。

労働時間や勤務日数などの条件を満たしていれば、健康保険に加入できます。

自営業や、勤め先の健康保険の加入条件を満たしていない場合は、自分で国民健康保険に加入することになります。

国民健康保険の申請時には、「健康保険資格喪失証明書」といった、健康保険を脱退したことがわかる書類が必要です。

また、年金も同様に加入先が分かれます。

パート勤めの場合は、勤め先の厚生年金に加入することになるでしょう。

対して、自営業や厚生年金の加入対象者に該当しない場合は、国民年金に加入し、自分で保険料を支払います。

健康保険や厚生年金への加入は、勤め先の事業規模や労働時間、労働日数などによって異なりますので、自分が対象者に該当するか確認しましょう。

年収130万円を超えた場合、すぐに扶養から外れる?

「年収を超えたらすぐに扶養から外れるの?」と気になる方もいるかもしれません。

扶養を外れるか・外れないかの認定は、今までの収入や現在の収入、今後の見込みなどをもとに健康保険組合によって判断されます。

厚生労働省は2020年4月10日、健康保険組合宛てに以下のような事務連絡を行っています。

「確認に当たり、被扶養者認定を受けている方の過去1年間の収入が、昇給又は恒久的な勤務時間の増加を伴わない一時的な事情等により、その1年間のみ上昇し、結果的に130万円以上となった場合においても、原則として、被扶養者認定を遡って取り消さないこと。」
(引用元:厚生労働省|被扶養者の収入の確認における留意点について)

つまり、うっかり130万円を超えてしまった場合は、被扶養者認定を遡って取り消さないように通知した、といえるでしょう。

とはいえ、健康保険組合ごとに判断基準が異なるため、加入している健康保険組合に確認してみましょう。

年に1回被扶養者かどうかの確認がある

「年収130万円を超えるかどうか、わからない」という方もいるかもしれませんが、年に1回、加入している健康保険から、被扶養者の資格があるかの確認があります。

収入がある際は、給与明細や確定申告書のコピーなどの書類の提出が求められるので、そのとき年収130万円を超えているかどうかがわかるでしょう。

調査の実施や書類提出期限などは、保険組合によって異なりますが、9月~11月ごろが多い傾向です。

参照元:協会けんぽ|令和4年度被扶養者資格再確認について
パナソニック健康保険組合|「健康保険 被扶養者の扶養状況調査(検認)」実施について

扶養を外れる場合の手続き

扶養を外れる場合には、扶養者と被扶養者の両方で手続きが必要です。

被扶養者が勤務先で新たに社会保険に加入する場合は130万円を超えた日から5日以内、国民健康保険・国民年金に加入する場合は14日以内に手続きをしなければならないので注意してください。

被扶養者の条件に該当しないにもかかわらず手続きをしていなかった場合は、未手続き期間中に発生した医療費の返還(7割分)を求められるなど、デメリットが生じる可能性があります。


【扶養者】
被扶養者の保険証を勤務先に返却し、「被扶養者(異動)届」を提出します。
健康保険資格喪失証明書は、被扶養者が新しい健康保険証を受け取るまでは大切に保管しておいてください。


【被扶養者】
勤務先の社会保険に加入する場合は「被保険者資格取得届」を、国民年金・国民健康保険に加入する場合は「被扶養配偶者非該当届」を提出しましょう。



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そもそも扶養や年収の壁って何?

「扶養控除や年収〇〇の壁などの言葉をよく聞くけれど、いまいちわからない」という方は少なくないでしょう。

「扶養内で働く」とは、本来「扶養控除が受けられる範囲内で働く」ことを意味しています。

【扶養控除とは】
子どもや親などの扶養親族がいる場合、所得の計算をするときに所得から一定額を差し引ける制度のこと。

扶養控除には、「税制上の扶養控除」と「社会保険上の扶養控除」の2つがあります。

扶養控除の種類対象の控除
税制上の扶養控除・所得税に関するもの
・住民税に関するもの
・配偶者控除
・配偶者特別控除に関するもの
社会保険上の扶養控除・健康保険に関するもの
・年金に関するもの

税制上の扶養控除には、所得税や住民税、配偶者控除などに関するもの、社会保険上の扶養控除には、健康保険や年金に関するものがあり、それぞれ上限額が設けられています。

たとえば、年収103万円までは、所得税がかかりません。

年収103万円を超えると、収入に対して所得税がかかるようになります。

これが、税制上の扶養控除の1つであり、「年収103万円の壁」と呼ばれているものです。

また、収入の少ない配偶者がいた場合、納税者の税負担が軽減される「配偶者控除」や「配偶者特別控除」といった制度も適用されます。

扶養控除は、扶養に入る人にとって、自分で保険料を負担せず社会保険に加入できる点、納税者にとっては、税負担が軽くなる点がメリットといえるでしょう。

年収130万円を超えて働くメリット・デメリットとは?

130万円を超えて働くのは悪いことばかりではありません。
メリットとデメリットの両方を確認し、今後の働き方を考えてみましょう。

年収130万円を超えて働くメリット

130万円を超えて働くメリットは以下の通りです。

  • 基礎年金だけではなく厚生年金ももらえるようになる
  • 健康保険から傷病手当金や出産手当金がもらえるようになる

傷病手当金や出産手当金は、病気・ケガ・出産によって働けなくなったときに一定期間、給料のおおよそ3分の2が支給される制度のことです。

年収130万円を超えて働くデメリット

130万円を超えて働くデメリットは以下の通りです。

  • これまで納めていなかった社会保険料を納めることで手取りが減る
  • 配偶者が家族手当や扶養手当などをもらえなくなる可能性がある

たとえば東京都で勤務している35歳の人が毎月20万円の収入を得ている場合、社会保険料分として約3万円手取りが減ることになります。


厚生労働省の「令和2年就労条件総合調査」によると家族手当や扶養手当の平均額は約1.7万円です。この手当がなくなると年間で20万円以上収入が減ってしまう可能性があります。

130万円を超えないようにするにはどうすればいい?

  • 雇用主と相談して、勤務時間や日数を調整する(扶養内で働きたい旨を伝えておく)
  • 自営業なら確定申告をして経費を差し引く

なお、2023年9月時点で、年収130万円を超えても連続2年までなら不要から外れないようにする案を政府が検討しているようです。政府は年収の壁についてさまざまな対策を検討しているので、今後の動向については注目しておいたほうが良いかもしれません。

「年収130万円の壁」以外に気にしておきたい年収の壁とは?

扶養内で働くことを考えている方は、年収〇〇の壁というのを聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。この壁は一定の年収を超えた場合、税金や保険などを支払う必要があるラインとなります。

年収の壁を一覧表にすると以下のようになります。

年収の壁税制の扶養社会保険の扶養
年収103万円の壁・配偶者控除を受けられる年収の上限
・超えると所得税がかかる
年収106万円の壁自分の勤め先で社会保険の加入義務が生じるライン
(従業員数や勤務時間・日数などの条件がある)
年収130万円の壁・配偶者の社会保険の扶養から外れる境界線
・超えると自分で国民健康保険に入るか勤め先の社会保険に加入する必要がある
年収150万円の壁・配偶者特別控除が満額(38万円)受けられる上限
・配偶者の年収によっては減額されることがある
年収201万円の壁配偶者特別控除が受けられる上限のライン

年収103万円の壁

年収103万円の壁とは、所得税の壁を指します。

・年収103万円以下…所得税がかからない
・年収103万円以上…所得税がかかる

所得税がかかるか否かのボーダーラインが、103万円です。
なぜ、103万円以下は所得がかからないのか疑問に思う方もいるかもしれません。
理由は、給与所得控除と基礎控除にあります。

・給与所得控除:所得税の計算の際に、1年間の収入額に対して差し引かれる控除
・基礎控除:所得税の計算の際に、総所得から差し引かれる控除

給与所得控除から最低55万円、基礎控除から最高48万円が控除できます。

55+48=103。

合計して103万円の控除額となるため、年間収入が103万円以下であれば、所得税がかからないのです。103万円を超えてしまった場合は、超えた金額分に所得税がかかります。

【例】
年間収入115万円の場合
115万円 -(基礎控除48万円+給与所得控除55万円)=12万円
よって、12万円に所得税がかかる

なお、年収103万円の中に交通費や通勤手当は含まれませんが、 公共機関の利用などで1ヵ月15万円以上かかる場合は、課税対象となるため、注意しましょう。

年収106万円の壁

年収106万円の壁とは、社会保険の壁を指します。
年収106万円を超えると、条件によって社会保険に加入する必要がでてきます。

具体的には、以下5つの条件を満たした場合、または正社員の4分の3以上の日数・時間分働いている場合です。

条件
・週20時間以上働いている
・1年以上継続して勤務する見込みがある
・月収が88,000円以上
・従業員が501人以上の企業で働いている
・学生ではない

例えば、現在夫の扶養に入っている妻の場合、今までは自分で保険料を支払わなくても、健康保険や厚生年金の対象者となっていました。

しかし、上記の条件項目を満たし、社会保険に加入すると、自分で保険料を支払わなければならなくなり、年間10万円ほど、納めることになります。

もちろんメリットもありますが、手取り額が減ってしまう点は気になる方も多いのではないでしょうか。

106万円を超えて、どれほどの収入が見込めるか、今後扶養を外れる可能性があるのか、なども考慮して、損をしない金額を見つけだしましょう。

年収130万円の壁

年収130万円の壁とは、扶養から外れる壁を指します。

扶養ではなくなり、自分で国民健康保険や国民年金保険を納めるか、勤め先の社会保険に加入しなければなりません。

勤務先の社会保険への加入を検討する場合は、条件を確認しましょう。
勤務日数や時間数などによっては、加入対象外のケースも考えられます。

勤め先の社会保険に加入できない場合は、国民健康保険に入ることになります。
さまざまな年収の壁の中でも、扶養に外れるか否かの大きなラインとなるのが、この年収130万円の壁です。

税制での扶養・社会保険の扶養の両方がなくなるため、迷う方もいるのではないでしょうか。
扶養内で働きたいときは、130万円を超えないような働き方をおすすめします。

年収150万円の壁

年収150万円の壁とは、配偶者控除の壁です。

配偶者控除には、「配偶者控除」と「配偶者特別控除」が存在します。
配偶者控除とは、収入の少ない配偶者を養っている人が受けられる所得控除のことです。

以下の条件を満たしている場合、控除が適用されます。

配偶者控除の適用要件
合計所得金額が48万円以下であり、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下の場合、38万円の控除が受けられる

たとえば、扶養内で働く妻の所得が103万円を超えた場合、配偶者控除の対象ではなくなるため、夫への配偶者控除(38万円)の適用はなくなります。

しかし、配偶者特別控除の条件を満たしていれば、妻が年収103万円以上でも、配偶者特別控除を受けられます。

なお、配偶者控除と配偶者特別控除は、併用できません。 どちらの控除を受けるかは、配偶者の合計所得金額などで判断することになります。

年収201万円の壁

年収201万円の壁は、配偶者特別控除の壁です。

配偶者特別控除の適用要件
配偶者の合計所得が48万円超133万円以下であり、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下の場合、38万円の控除が受けられる

配偶者特別控除は、配偶者控除と異なり、配偶者の収入に合わせて控除額が減るように設けられています。

そのため、年収150万円の壁を越えても突然適用がなくなるわけではありません。

150万円から徐々に減少していき、年収201万円までいくと控除額は0になります。

配偶者特別控除が0になるラインが、年収201万円の壁です。

まとめ

うっかり130万円を超えてしまうケースは珍しくありません。

どうしたらいいか迷うかもしれませんが、最終的な判断は加入している保険組合などの保険者が行います。そのため、早めに保険者に確認することが重要です。

また、130万円以外にも、年収の壁は複数あります。

利用できる扶養制度やライフスタイル、生活への影響などを考えながら、働き方を見つめ直す機会にしてみてはいかがでしょうか。

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