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「人生100年時代」が提唱されてまだ間もない現在、高齢化が進み続ける日本では、将来に対して様々な不安を抱えている人がほとんどです。
安定という言葉だけを求めるわけではなく、自分らしい働き方や生き方をそれぞれ追求しながら、今しかできないことを精一杯やり抜いて生きている人も多くなってきています。
そんな中で、「生涯独身」と言う生き方を選択する人も増えてきました。
ただし自分ひとりの力だけで生きていくためには「お金」も自分で用意する必要があります。もう少し精緻な表現をするならば「老後資金」です。
独り身のまま老後を迎えるとなると、貯金はどのくらいしておけばいいのか?というのが非常に気にかかるところですよね。
今回は、理想のおひとりさまライフを実現するための老後資金についてお伝えしていきます。
どうして独身でも老後に備えておく必要があるの?
「老後破産」という言葉をご存知でしょうか?
場合によっては「老後破綻」とも表現されますが、老後破産をしてしまうということは、かなり苦しい生活をたったひとりで送らなければならないということです。
たとえ今どんなに一生懸命働いていたとしても、絶対に老後破産の状況に陥らないとは言い切れないのが実状でもあります。
現役時代と変わらない生活水準を保つためにお金が必要なのはもちろんですが、老後の暮らしでは病気や介護といったお金が必要な局面が増えてきます。
豊かでゆとりのある、より良い老後生活を送れるようにするために、早い段階から資産形成を始めることが必要なのです。
老後のためにどのくらい貯金してあればいい?
それでは、理想のおひとりさまライフを実現するためには、どのくらいの蓄えが必要なのでしょうか。
平均寿命が男性よりも長い、女性の場合でシュミレーションしてみましょう。
年金受給額の平均額から不足分を計算
総務省の「1世帯当たり1か月間の収入と支出(単身世帯)」(2018年)を見てみると、65歳以上の女性における1ヶ月の消費支出は151,421円となっています。
令和元年時点での年金の受給額の一例として
- 国民年金:53,013円
- 厚生年金:108,776円(女性の平均)
という数値を適用し不足分を計算すると、
- 国民年金の場合:(収入)53,013円-(支出)151,421円=-98,408円
- 厚生年金の場合:(収入)108,776円-(支出)151,421円=-42,645円
となります。
ここでは、余裕をもって月5万円、月10万円として計算します。
平成29年簡易生命表によると、女性の平均寿命は87.26歳でした。現在の日本の年金制度では、1966年4月2日以降に生まれた人は、65歳から年金が支給されますので、65歳から90歳までの期間と仮定して、25年間の老後資金を確保するためには、
- 国民年金のみの場合:(不足金額)10万円×12ヶ月×25年間=3,000万円
- 厚生年金の場合:(不足金額)5万円×12ヶ月×25年間=1,500万円
それぞれこのくらいの貯蓄が必要になってくるということになります。
老後資金を貯金だけで賄おうと思った場合、20代から貯金を始めるとすると月にどのくらい貯金できるのが理想ですか?
仮に25歳の人が65歳までに年金の不足分を貯金しようとするなら、厚生年金なら年間3万円、国民年金なら年間6万円貯める必要があります。
おひとりさまの家賃問題
先ほど提示した老後の消費支出には、
- 食費
- 光熱費
- 衣料品
- 医療費
- 交通費
- 家賃・地代
などが含まれていますが、この中で「家賃・地代」の項目は、わずか5,368円となっています。これは、アンケート対象者の82.6%が持ち家だからです。
持ち家なのか賃貸なのかによって、老後の消費支出は大きく変わります。
もちろん、一概に持ち家があれば安心という訳ではありません。持ち家と賃貸のメリット・デメリットを比較し、自分に合ったプランニングを行うことが大切です。
持ち家のメリット・デメリット
持ち家のメリットとデメリットは以下のようになっています。
メリット
- 住宅ローンを定年までに完済してしまえば老後の金銭的負担が少なくなる
- リフォームや改築が自由にできる
- ペットを自由に飼える
デメリット
- 簡単に住み替えができない
- 災害・事故などで大きな損害を受けてもローンは減らない
- 修繕・メンテナンス費用を考えておかないといけない
- 不動産価格の変動により価値が目減りすることもある
賃貸のメリット・デメリット
賃貸のメリットとデメリットは以下のようになっています。
メリット
- 自由に住み替えができる
- 災害・事故などで建物が倒壊してもローンが残らない
- 設備等の破損・不具合に費用がかからない
デメリット
- 毎月家賃負担が発生する
- 賃貸契約を更新する際に更新料がかかる
- 高齢になると借りづらくなることもある
- リフォームや設備交換が自由ではない
- ペットが飼えないこともある
「おひとりさま」を美しく生き抜くために
「おひとりさま」は決して悪いものではありません。が、人生に起こりうる全てのことをひとりで乗り切っていかなければならないのは事実です。
だからこそ、現状の生活と〝ほんの少し先〟の人生を見直してみてはいかがでしょうか。
自分が今どのような暮らしをしていて、今後どのように暮らしていきたいかを、もう一度よく考え直せば、お金以外にも大切なものがあることに気付けるかもしれません。
自分一人で人生設計をしていくということは、人生における自由度が比較的高いという事です。
そのぶんリスクや責任も全て自分で負わなければならないということを忘れず、素敵なセカンドライフを送れるよう、今から少しずつ頑張ってみましょう!