年金制度は本当に必要?民間保険との違いを解説

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公的年金制度に対して「自分が受給する頃には破綻しているのではないか」「払い込み損になるのではないか」といった不安を抱えている人は多いのではないでしょうか。

「老後資金2000万円問題」も記憶に新しい昨今「公的年金制度を利用せずに民間保険や個人的な蓄えで老後の準備をすることはできないのだろうか」と考えている人もいるかもしれません。

年金の納付は義務ですから、個人的に必要ないと判断したからと言って納付しないわけにはいきません。

しかし、結論から言えば公的年金制度は仮に任意加入だったとしても活用する価値のある仕組みです。

今回は、民間保険があるのになぜ年金制度が必要なのかを解説していきます。

公的年金制度と民間の個人年金保険の違い

公的年金制度と民間の個人年金保険には、以下に示す違いがあります。

公的年金個人年金保険
保険者保険会社
加入必須任意
払込期間60歳まで(国民年金)
70歳まで(厚生年金)
任意(制限がある場合も)
受給期間一生涯契約時に選択
受給開始60歳〜(選択可能)契約時に設定
給付方式確定給付(固定額)原則契約時に確定
保険料控除ありあり

「将来的に年金受給額が減額される」は本当か?

2004年(平成16年)までの年金支給額は、物価連動でした。

物価が高くなると年金支給額も引き上げられるため、受給時に経済状況が変わっていても、納付時と同じ価値の年金を受給できたということです。

しかし、2015年以降は年マクロ経済スライドが導入され、その時の社会情勢に合わせて年金の受給額が調整されることになりました。

これは、将来的に大幅なインフレが進むと、年金の価値が期待よりも下がってしまう可能性があるということです。

このような仕組みと年金受給開始年齢の繰り下げなどが、年金制度に対する不安を増長させているのでしょう。

生活資金と年金

総務省「2017年家計調査」によると2人世帯以上の消費支出と貯蓄は、以下のようになっています。

世代毎月の支出貯蓄高負債額差額
20歳代23.1万円361万円468万円-107万円
30歳代26.0万円600万円1,056万円-456万円
40歳代31.5万円924万円961万円-37万円
50歳代34.3万円1,596万円607万円989万円
60歳代29.0万円2,129万円267万円1,862万円
70歳以降23.4万円2,056万円115万円1,944万円

この金額はあくまで平均値ですので、目安として考えて下さい。

国民年金受給額は40年満期で月額約6万5千円になりますが、平均の月額支給額は以下のようになっています。(厚生労働省ホームページによる)

  • 国民年金単身者・・・5万5千円
  • 国民年金夫婦2人・・・11万1千円
  • 厚生年金男性・・・16万6千円
  • 厚生年金女性・・・10万3千円
  • 夫(厚生年金)と妻(国民年金)・・・22万2千円
  • 厚生年金夫婦共働き・・・26万9千円

厚生年金夫婦共働き家庭を除くと、年金収入だけでは平均の消費支出に届きません。

また、医療費、旅行、交際費、家電の買い替え、家のリフォームなどの臨時支出への備えも用意する必要があるので、公的年金の収入だけでは老後の生活をまかなうことは難しいでしょう。

公的年金制度のメリット

年金制度と年金保険

このように、公的な年金制度だけで老後の生活費を賄うのは現実的ではありません。

それでは、公的年金制度を使わずに民間保険や個人的な蓄えだけで老後の資金を作っていった方が良いのでしょうか?

答えは、NOです。

なぜなら、公的な年金制度は民間の個人年金保険に比べても有利な点がたくさんある保険だからです。

公的年金制度では、老齢基礎年金の他にも以下のような給付金を受け取ることができます。

  • 死亡一時金
  • 障害基礎年金
  • 遺族基礎年金

これらの給付金は、老後の蓄えとしてだけでなく、人生で起きる様々な想定外の事態で被保険者やその家族を助けてくれる、頼もしいものです。

公的年金制度は確実に活用しつつ、民間保険で不安な分を補うというのが理想的な考え方だと言えます。

昨今「老後の生活資金は年金だけでは足りない」と言う話をよく耳にするので、年金制度だけでは不安です。

年金制度が整っている海外でも一般的に自身の資産を退職前から「投資」によって運用し、それも自身の年金として受け取っている方が主流です。不安であれば自分自身で備えなくてはいけないだけです。

民間保険の位置付け

ここまで述べてきたように、民間保険は公的年金制度を補うものとして加入するのが望ましいです。

民間保険を併用した方がいい人の特徴はありますか?

特徴で良し悪しは決まりません。保険には「公平の原則」がありますので、リスクの高い方は高い保険料、リスクの低い方は安い保険料ですので、原則どなたが利用しても「公平」になっています。

多くの現役世代の方は、子供の教育費と家の購入(ローン)が終わらないと貯蓄の余裕があまりないかもしれません。

予想しうるリスクと支払い可能な金額を照らし合わせて、自分に合った金融商品を選ぶことが大切です。

民間保険を選ぶときのポイントはなんですか?

何のために保険に入るのか?入院のリスクなのか介護のリスクなのか、重大疾病のリスクなのかなど「目的」をしっかりともち、専門家に相談をすることです。

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