会社に勤めていると「年末調整」という言葉を耳にしますが、知らない間に行われていて、実際のところ「何が行われているのかよく知らない」という方もいらっしゃるはずです。
年末調整は、自分のお金に関わる大切な知識です。徴収された税金が戻ってくることもあるため、専門家のように詳しくなくても、社会人の知識としてある程度は知っておくことをおすすめします。
この記事では、年末調整の意味と対象者について解説します。
年末調整とは?
年末調整とは「一年間に徴収した所得税の合計金額」と「本来徴収するべきだった一年の所得税の金額」を比較して、過不足分を調整することです。
企業に勤める会社員や公務員の給料やボーナスからは、毎回所得税が徴収されています。これを「源泉徴収」といいますが、源泉徴収される金額は推定額で、正しい金額ではありません。
年末調整では、所得税を支払い過ぎていた場合は本人に還付され、不足していた分に関しては新たに徴収されます。
会社により時期は異なりますが、差額は12月分の給料か、翌年1月分の給料で調整されるケースが大半です。
確定申告と年末調整の違い
1月~3月にかけて「確定申告」という言葉を街中で見たり、聞いたりするようになります。確定申告とは、個人事業主や企業などの法人が1年間の所得金額を計算し、税務署に納税額を申告することです。
年末調整をしている会社員は、基本的には確定申告をする必要はありません。
会社員で確定申告が必要になるのは、以下のいずれかに該当する場合のみです。
- 年収が2,000万円を超える場合
- 退職した場合
- 副業などで他の所得金額が20万円を超える場合 など
年末調整の対象になるケース

年末調整を受ける対象になるのは、会社に対して「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出した場合です。この申告書は、企業から給料の支払いを受けている会社員は基本的に必ず提出しています。
- 1年を通して同一企業に勤務している場合
- 途中入社でも年末まで勤務した場合
- 海外の支店などに転勤し、非居住者となった場合
- 退職理由が著しい心身の障害のため、年内に再就職が困難だと見込まれた場合(再就職の可能性があり、他で給与所得が見込まれる場合は除外)
- 12月の給与が支払われた後に退職した場合
- 死亡により退職した場合
- パートやアルバイトなどで退職し、その年の給与の総額が103万円以下の場合
以上に該当していれば、年末調整の対象者となります。
年末調整の対象にならないケース
会社に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していても、年末調整の対象にならないケースもあります。
会社勤めでも例外的に年末調整の対象にならないのは、次のいずれかに該当する場合です。
- 主たる給与収入が2,000万円以上の場合
- 災害減免法の規定によって、その年の給与に対しての源泉所得税の徴収猶予あるいは、還付を受けた場合
- 会社からの給与以外など、2か所以上から収入がある場合(他の企業に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している場合。年末調整を行うまでに「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していない場合)
- 日雇い労働者など、同一の会社や雇用主に雇用されない場合(「源泉徴収税額表」にある日額表の丙欄にあたる丙欄に該当する場合)
- 非居住者
まとめ
いかがでしたでしょうか?
企業に勤めている会社員や公務員であれば、ほとんどの場合に年末調整が行われます。生命保険や地震保険など、何らかの保険料を支払っている場合は所得額から控除されますので、年末調整前に忘れずに申告しておきましょう。
また、年末調整を行っていても、医療費控除・雑損控除・寄付金控除の3つに関しては、年末調整の対象外のため、自分で確定申告を行う必要があります。
入院やけがなどで病院代が高額になった場合や、指定された機関に寄付をした場合は、確定申告で納税した金額の一部が還付されることもあるため、確認してみて下さい。