日本のキャッシュレス決済の現状

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消費税増税対策として2019年10月に導入したポイント還元制度によるキャッシュレス決済が当初の想定を上回るペースで拡大しているそう。経済産業省によると1日あたりのポイント還元率が11億強に達したと公表がありました。

しかし、日本のキャッシュレス決済の現状は、海外に比べて遅れています。 

現状は遅れていますが、FeliCaチップ(ICチップ)を用いたおサイフケータイが誕生した2004年、日本は海外と比べてキャッシュレス決済が進んでいたのですが、FeliCaチップ(ICチップ)は、日本独特であったため、国内での利用は多かったものの、世界には広まりませんでした。

また、ドコモのiモードは当時世界でも進んでいましたが、2008年に日本でもiPhoneが発売され、世界標準のスマートフォンの時代に。

そのスマートフォン時代に突入してから、スマートフォンには日本規格のFeliCaチップは搭載されず、これまでキャッシュレス決済の利用率として高かったおサイフケータイが停滞するようになりました。

近年では、FeliCaチップを搭載したスマホも販売されていますが、そこまで普及しているわけではありません。現在FeliCaチップはというと交通系ICカードのSuica・PASMO等のカードに導入されています。

2019年、消費税増税に合わせて、国をあげてキャッシュレス決済が掲げられましたが、今後はどのように進展していくのでしょうか。
この記事では、日本のキャッシュレス決済の歴史をはじめ、日本のキャッシュレス決済の現状についてをご説明いたします。

日本のキャッシュレス決済の誕生

現金を使わずに決済ができるクレジットカードは、1950年代にアメリカで始まりました。

日本でも、1960年代に現在のエポスカード、OMCカード、クレディセゾンカード、ニコスカードの元となる様々なクレジットカードが発行されています

ソニーは、1987年からカードを検出装置にかざすと決済できる非接触システム「FeliCa」の研究をスタートし、2001年に電子マネー「Edy」が誕生しました。 この後、「Suica」に発展していきます。

「Edy」は、ドコモの携帯電話に採用され「おサイフケータイ」が誕生して、日本はこの頃に、キャッシュレス決済の先頭にいました

キャッシュレス決済が始まった背景

日本の現状

キャッシュレス決済の種類
キャッシュレス決済の種類

キャッシュレス決済の方式には、支払い時期と認証方式により、次の4種類があります。

  • 後払い(ポストペイ)のクレジットカード
  • 前払い(プリペイ)の電子マネー
  • 即時払い(リアルタイムペイ)のデビットカード
  • 即時払い(リアルタイムペイ)のスマホアプリ

電子マネーは、主にカードタイプが多いのですが、日本ではカードタイプの他に多く利用されているものとして、フィーチャーフォンとスマホで利用できるおサイフケータイがあります。

これらのキャッシュレス決済について、現状を紹介します。

後払い(ポストペイ)のクレジットカード

クレジットカードは、最初に始まったキャッシュレス手段です。

〇特徴
後払い、与信機能
〇加盟店への支払いサイクル
月2回など
〇支払いの承認方法
スライド式(磁気カード)と読み込み式(ICカード)
〇キャッシュレス決済比率
18.0%
※2016年のキャッシュレス決済比率

2016年のキャッシュレス決済比率19.7%なので、現状はクレジットカードが中心です。

前払い(プリペイ)の電子マネー

電子マネーは交通系で始まり、流通系での利用に発展しています。

〇特徴
利用金額を事前にチャージ
〇加盟店への支払いサイクル
月2回など
〇支払いの認証方法
接触のタッチ式
〇キャッシュレス決済比率
1.7%
※2016年のキャッシュレス決済比率

クレジットカードは、利用時にカード会社の認証を受けるので手間がかかり、主に数千円以上の支払いに利用される傾向がありますが、電子マネーは少額の支払いに利用されるので、気軽に利用できるという点で、キャッシュレス決済比率が高まっていきます。 

逆に、電子マネーの事前のチャージには数万円の上限があるので、高額の支払いはできません。 

電子マネーは事前チャージが基本ですが、クレジットやスマホ利用料金と連携した後払いも選択できます。

電子マネーには、以下の種類があります。

  • 東日本旅客鉄道株式会社「Suica」
  • 株式会社パスモ「PASMO」
  • 東海旅客鉄道株式会社(JR東海)「TOICA」
  • 名古屋鉄道株式会社「manaca」
  • 西日本旅客鉄道株式会社「ICOCA」
  • 株式会社セブン・カードサービス「nanaco」
  • イオンリテール株式会社「WAON」
  • 楽天Edy株式会社「楽天Edy」など

即時払い(リアルタイムペイ)のデビットカード

デビットカードは、クレジットカードと同じくカードタイプのキャッシュレス決済方法ですが、支払い時に銀行口座から支払金額が即時に引き落とされる即時払のカードです。

〇特徴
利用時に同時に銀行口座からリアルタイムの引き落とし
〇加盟店への支払いサイクル
月2回など
〇支払いの認証方法
クレジットカードと同様
〇キャッシュレス決済比率
0.3%
※2016年のキャッシュレス決済比率

デビットカードのキャッシュレス決済比率は日本では0.3%ですが、海外ではほとんどの利用がデビットカードです。 

デビットカードは銀行口座があれば誰でも作れるので、日本でもデビットカードの利用が進展すると予想されます。

即時払い(リアルタイムペイ)のスマホアプリ

スマホアプリ(モバイルウォレット)は、スマホにキャッシュレスアプリをインストールして利用します。

〇特徴
利用時に同時に銀行口座からリアルタイムの引き落とし(貯まったポイントの利用や前払い・後払い方式も選択可能)
〇加盟店への支払いサイクル
他に比べ支払いサイクルが短いのが多い
〇支払いの認証方法
QRコード
〇キャッシュレス決済比率
0%
※2016年のキャッシュレス決済比率

2016年ではスマホアプリの利用は始まっていませんが、以下に示すようなメリットがあり今後利用が広まっていくと予想できます。

メリット

QRコードで利用できるので専用端末が不要
利用手数料が安い(一定期間無料も)
スマホで決済できるのでカードの持ち歩きが不要(財布の軽量化)

スマホアプリ決済には、以下の種類があります。

  • PayPay株式会社「PayPay(ペイペイ)」
  • LINE Pay株式会社「LINE Pay(ラインペイ)」
  • 株式会社メルペイ「メルペイ」
  • 楽天ペイメント株式会社「R Pay」
  • KDDI株式会社「au PAY」
  • 株式会社NTTドコモ「d払い」
  • iPhoneやSuicaに対応する「Apple Pay(アップルペイ)」
  • Androidスマホ向けの「GooglePay(グーグルペイ)」
  • 株式会社ファミリーマート「FamiPay(ファミペイ)」
  • 株式会社Origami「Origami Pay(オリガミペイ)」
  • ゆうちょ銀行「ゆうちょPay」
  • 株式会社みずほ銀行「J-Coin Pay」
  • 株式会社pring「pring(プリン)」など

キャッシュレス決済の種類|対象店舗数が多いQRコード決済サービスは?

おサイフケータイ

felica

おサイフケータイは、携帯電話・スマホに埋め込まれたFeliCaチップ(ICチップ)を使った日本独特のキャッシュレス決済サービスです。 

おサイフケータイは、決済機能に加えて以下のような幅広いサービスを利用できます。

  • Edyをはじめとした電子マネー
  • 各種会員証
  • 量販店のポイントカード
  • 鉄道やバスの乗車券(乗車カード)
  • 航空券
  • クレジットカード

フェリカネットワークス株式会社によると、スマホ所有者のうちの65.6%(2018年度)がFeliCa対応で前年度の45.9%から所有率が上がっています。 

FeliCa対応スマホ所有者のうち、32.7%(2018年度)が電子マネーを利用しており、前年度の25.1%から利用率が上がっています。

キャッシュレス社会への期待

2018年の経済産業省の資料によると、キャッシュレス社会への期待は、性別、年代別の現状と期待は下表にようになっています。

分類調査人数なった方が良いならない方が良い
全体3,600人48.6%51.4%
男性1,803人58.7%41.3%
女性1,797人38.5%61.5%
20代男性281人57.7%42.3%
30代男性340人58.5%41.5%
40代男性430人58.6%41.4%
50代男性356人59.0%41.0%
60代男性396人59.3%40.7%
20代女性272人36.8%63.2%
30代女性333人35.4%64.6%
40代女性422人36.7%63.3%
50代女性357人42.0%58.0%
60代女性413人40.9%59.1%

賛成の理由は、下表のようになっています。

賛成の理由全体男性女性
現金を持たなくて良い14.7%14.9%14.3%
利便性が高い10.7%12.2%8.7%
お得6.9%5.5%8.7%
やりとりがスムーズ6.3%5.5%7.3%
管理しやすい5.5%4.6%6.7%

女性よりも男性の方が賛成の期待が高い傾向があります。 女性は、キャッシュレス化に浪費を心配している方が多いようです。 世代別に見ると大きな差はなく、高齢世代の方がわずかですが賛成が多くなっています

まとめ

いかがでしょうか。今回は、日本のキャッシュレス決済の現状についてご説明しました。

現在、クレジットカードをはじめスマホ決済まで、幅広いキャッシュレス決済方法が存在しています。日本は2019年の消費税増税後にこれまでよりもキャッシュレス決済の普及率が高まってきました。

日本において、キャッシュレス決済は今後もさらなる発展が期待できそうです。

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