地方のキャッシュレス化の現状|キャッシュレス導入の課題

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デパート、スーパー、コンビニなどの多くの全国チェーン店では、地域に関わらずキャッシュレス決済を利用できます。ですので、都会だけではなく地方においても、キャッシュレス決済に対応したチェーン店であれば、キャッシュレス決済が可能です。

地方におけるキャッシュレス化は、次のような理由で進んでいくと予想されます。

  • キャッシュレス決済になれた大都市圏旅行者やインバウンド顧客の取り込み
  • 導入店舗が広がることで地域住民の取り込み
  • キャッシュレス決済の生産性向上で人手不足への対応

しかし、現状では、キャッシュレス化の進展は地域により異なります。この記事では、地方のキャッシュレス決済の現状についてご説明します。

キャッシュレス決済の利用額

都道府県別キャッシュレス決済利用額の比率
都道府県別キャッシュレス決済利用額の比率

日経の雑誌社の2018年調査によると、キャッシュレス決済の利用額の比率の高い地域と低い地域の10都道府県は、それぞれ以下に示すようになっています(主にクレジットカード決済)。

順位都道府県決済額比率
1千葉県48.51%
2茨城県48.49%
3東京都48.44%
4富山県47.00%
5神奈川県46.41%
6三重県45.95%
7兵庫県45.71%
8埼玉県45.27%
9福島県44.36%
10愛知県43.96%
38岩手県37.89%
39長崎県37.71%
40福井県36.03%
41徳島県34.85%
42大分県34.56%
43鹿児島県34.24%
44鳥取県34.06%
45島根県33.61%
36宮崎県32.19%
47佐賀県31.94%
全国平均43.03%

関東・中部・近畿においてキャッシュレス決済の比率は高く、近畿以西においてはその比率が低い傾向がありますが、沖縄県は13位、北海道は19位となっています。

交通系電子マネー

交通系電子マネー
SuicaやPasmoなど

交通系電子マネーは、Suica,やPASMOの利用者の多い東京都、神奈川県、埼玉県で利用率が50%前後であるのに対して、福井県では5.8%と地域の変動が大きくなっています

この原因には、導入経費が高いことや、交通系電子マネーが全国共通ではないことが挙げられます。

交通系電子マネーは、全国で地域ごとに10カードも発行され、地域によっては利用できるところとできないところがあるため、普及に差があることによると思われます。

国土交通省の交通系ICカードの導入調査によると、2017年3月末時点で、交通系電子マネー未導入の都道府県は6県あるとのことです。 このうち、青森、秋田、徳島の各県は県内に独自カードも導入されておらず、まったくのICカード”空白地帯”になっています。

交通系電子マネー導入費用例

交通系電子マネーの導入費用の例として、熊本県バス協会等(鉄道18駅8編成、バス約1000台)が導入済の地域独自カード「くまモンのIC CARD(熊本地域振興ICカード)」に、2016年3月に10カードの片利用を導入しました。

これは、地域独自カードエリアで、全国の交通系電子マネー10カードが利用できる仕組みで、この仕組みを導入した際の費用は、約8億円(熊本県バス協会)とのことです。

利便性は高いのですが、導入費用が高いこともあり、地方の中小の交通機関では導入が遅れています。

QRコード決済の利用意向

QRコード決済

日経の雑誌社の2018年調査によると、QRコード決済の利用意向は、以下に示すようになっています。

前項でご紹介したキャッシュレス決済の利用額では、大都市圏ではキャッシュレス決済の利用額が多いという結果が出ましたが、QRコード決済の利用意向では大きく異なる結果が出ています

順位都道府県決済額比率
1鳥取県12.4%
2山形県10.1%
3新潟県9.7%
4島根県9.0%
5東京都8.9%
6愛媛県8.8%
7埼玉県8.5%
8福岡県8.4%
9和歌山県8.0%
10北海道・山梨県7.3%
38青森県4.1%
39栃木県4.0%
40山口・宮崎県3.8%
42秋田県3.6%
43三重県3.4%
44奈良県3.3%
45長崎県3.2%
36広島県3.0%
47大分県1.9%

地方のキャッシュレス化

クレジットカードは、地方でもよく使われています。 そして、交通系電子マネーは、まず交通系のキャッシュレス化で使われ始めて、店舗のキャッシュレス化に進んできました。

しかし、地方では交通系ICカードの利用が遅れていることから、電子マネーは地方での利用が遅れている傾向があります。

そこで、地方のキャッシュレス化は、上の表に示されているようにQRコード決済に期待されています

これは、世界のITやキャッシュレス化の進展は、先進地と同じステップを経て進むのではなく、直接先進地と同じ方向を向くのと同じ現象といえるからです。

クレジットカードによる地方のキャッシュレス化は進んでいますが、QRコード決済によるキャッシュレス化については、次のような現状があるのです。

現状:大都市圏旅行者やインバウンド顧客の取り込み

地方でのキャッシュレス化の現状として、普段からキャッシュレス化に慣れている大都市圏からの旅行者や、現金よりもキャッシュレス化が進んでいるインバウンド顧客を取り込もうとしています

電子マネーEdyが使われ始めた2000年頃に、地方の商店街で電子マネーEdyを使えるようにする取り組みが行われました。

当時は大都市圏からの旅行者が対象でしたが、現状ではインバウンド顧客の取り込みも進んでいます。 この点からも地方でのQRコード決済が期待され、自治体や地域団体が中心になってキャッシュレス化を進めようとしている状況です。

第2段階:地域住民の取り込み

キャッシュレス化が進に導入店舗が増えれば、大都市圏からの旅行者やインバウンド顧客の取り込みだけでなく、地域住民も利用しやすくなり、地方のキャッシュレス化が進むといえます。

第3段階:交通機関などの人手不足への対応

地方、特に過疎地での鉄道・バス・タクシーなどの交通機関は人手不足あるいは利用者不足により、事業として成立しにくくなっています。

この点から、過疎地で移動手段として自治体・地域団体・事業者・地域住民が参加するシェアリングエコノミーが期待され、実現に向けた試行が行われています。 実用化には多くの関係者が参加することもあり、事務処理上からもキャッシュレス化が必須になります。

まとめ

いかがでしょうか。

今回は、地方のキャッシュレス化の現状についてご説明しました。

地方は都市部に比べて交通系電子マネーの普及の面で遅れををとっていますが、QRコード決済の利用意向は高い傾向にある地方地域が多いことがわかりました。

現在は地方にも全国チェーンの店舗が増えていることもあり、地方でもキャッシュレス決済は都市部と変わらずに利用できます。

また、地方の地域活性化のための取り組みによって、地方への旅行者だけではなく、地域住民にとっても利用しやすいキャッシュレス決済の環境が確保されつつあり、今後の地方のキャッシュレス決済の進展に期待できます。

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