【犬の誤飲】手術費用はいくらかかる?開腹手術や治療費も徹底解説!
・犬の誤飲の症状や危険な物
・犬の誤飲に関連する治療費
「犬の誤飲」とは
犬の誤飲とは「犬の食べ物以外のもの」を食べたり飲み込んでしまうことを言います。小さくて無害な物ならば数日内に便に混じって排泄されます。
しかし中毒を起こす成分を含む物、消化管に詰まる危険性のある物を飲み込んでしまうと重大な症状をひきおこし、対処が遅れると死亡することもあるので、誤飲した場合は早急に専門家に相談しましょう。
犬の飼い主の6割以上がペットの誤飲を経験している!?
犬を飼っておられる方ならワンちゃんが「変な物」を食べるのを見かけた方も多いでしょう。
出たウンチを見て「何?これ?」などという経験ありませんか?
大事にはいたらなくても、飼い主さんの見ていない隙に何かしら異物を口にしているかもしれません。
アイペットが実施した「犬の誤飲に関する調査」によると、誤飲経験あると答えた人は60.3%となっています。
犬の誤飲にかかる治療費や手術費用はどのくらい?
「ちょっと目を離した隙に」「飼い主さんの目の前で」「気づかないうちに」
犬が異物を誤飲するパターンはいろいろです。
コロナ禍にある近年、マスクの誤飲による腸閉塞を起こすケースが増えています。
マスクを取り出すために手術をすると、その他にいつ口にしたのか分からないものが大量に出てきた例もあります。
では、犬が誤飲した場合、動物病院ではどんな検査を行い、どれくらいの費用がかかるのでしょうか?
ここでは、犬が誤飲した場合の治療費をご紹介します。ただし、治療費は地域や動物病院、犬の状態や大きさによって大きく異なるので参考までに見てください。
犬が誤飲して動物病院に行くと獣医師は飼い主さんの情報をもとに判断をします(飼い主さんの正確な情報が診断の大きな助けになります)。
【犬の誤飲~治療方針を決める】
② 確実に食べていて誤飲後時間がたっていないなら吐かせる(催吐処置)
③ 全身麻酔をして胃洗浄
④ バリウムを飲んで位置確認(造影レントゲン検査)
⑤ 全身麻酔をして内視鏡で摘出
⑥ 全身麻酔で開腹手術(胃切開 腸切開)
・エコー
・血液検査
・全身麻酔による内視鏡検査
・異物は特定できなくても、それによって引き起こされている体の異常を察知することができる など
レントゲン検査 | 1方向 3,000~6,000円 |
エコー(超音波検査) | 3,000円~ |
血液検査(血球検査・生化学) | 7,000円(実施項目によって異なる)~ |
全身麻酔 | 体重によって異なる 5000~15000前後~ |
催吐処置 | 8,000円前後~ |
胃洗浄(全身麻酔含む) | 15,000円前後~ |
内視鏡(全身麻酔含む) | 2万~3万(検査のみ) 内視鏡による異物摘出術 3万~5万 |
開腹手術 | 15万~20万円前後(入院費含む) |
入院費 | 3,000円~5,000円 |
アニコムどうぶつ白書2019によると「犬の消化管異物/誤飲」の手術費用は、中央値105,009円 平均値128,024円となっています。
手術と言えば「開腹手術」を連想しがちですが、ペット保険においては「内視鏡下異物摘出」は手術とみなされます。
次に実際にペット保険に請求のあった例をご紹介します。
治療費は各動物病院や、手術や処置の方法、難易度になどによって大きく異なりますので一つの例としてみてください。
【内視鏡による摘出】~4歳ミニチュアダックス 爪楊枝の誤飲
診察料 | 600円 |
入院費(2日間) | 6,000円 |
レントゲン | 3,000円 |
照射料(2回) | 1,000円 |
催吐処置 | 3,000円 |
点滴・注射 | 8,000円 |
全身麻酔 | 6,000円 |
麻酔モニター | 3,000円 |
内視鏡 | 50,000円 |
治療費合計 | 87,400円 |
【チョコレートの誤飲】~ジャックラッセルテリア(4歳)
診察料 | 4,000円 |
留置針設置 | 2,500円 |
催吐処置 | 7,000円 |
皮下掘液 | 3,000円 |
治療費合計 | 16,500円 |
【腸閉塞手術】~ミニチュアダックスフンド(2歳)
初診料 | 1,000円 |
血液検査 | 8,000円 |
エコー | 5,000円 |
術前レントゲン検査 | 6,000円 |
全身麻酔 | 20,000円 |
手術費用 | 80,000円 |
術後造影検査 | 15,000円 |
入院費(4泊5日) | 15,000円 |
点滴(3日間) | 12,000円 |
注射(5日間) | 12,500円 |
合計 | 174,500円 |
引用:価格com
犬の誤飲の原因や予防策を紹介!
犬の誤飲事故は多かれ少なかれ犬の体に負担をかけるので、予防対策はしっかりと行いましょう!また、上記のように経済的な負担も大きくなってしまいます。
予防対策をするにあたってはまず原因を知らねばなりません。
犬や猫の誤飲の原因はどんなものが多い?
①遊んでいる最中に口に入れてしまった
口にくわえて遊んでいるうちに飲み込んでしまった!
丸くて「ツルっと」口の中に入るものは避けましょう。
おもちゃは口入る大きさのものは与えないようにしましょう。
ガムなどは口に入る大きさになったものは廃棄しましょう。
②匂い等に惹かれて食べてしまった
代表的なものとして引き合いに出されるのが「焼き鳥の竹串」です。
匂いに釣られて食べてしまうことが多いケースです。
③何でも口に入れてしまう癖がある
誤飲をする犬は何度も誤飲する傾向にあります。腸閉塞になりお腹を開いてみるといろいろなものが詰まっているケースがよくあります。
何度も開腹手術をすることは犬にとっても危険な行為になります。
④飼い主の気を引くため・驚いた拍子に飲み込む
犬が口にしているものを見て「それダメ!出しなさい!」などと飼い主さんが慌てて大きな声をだすと驚いた瞬間に飲み込んでしまう場合があります。
また「こうすれば飼い主さんに注目してもらえる」「構ってもらえる」「楽しい!」という考えにたどり着く場合があります。
犬が異物を口にしている時には決して慌てず冷静な態度をとりましょう。
誤飲をしてしまうと危険が高いものとは?
犬の誤飲で特に気を付けたいものは大きく2つに分けられます。主なものをご紹介します。
・中毒をおこす危険性のあるもの
消化管穿孔(消化管に穴を開ける)
・割れて尖る危険性のあるもの(プラスチックなど)
腸閉塞を起こすもの
・ 布製家具(ソファー、マット、椅子など)からほつれた糸
・ 果物の種 石
食道閉塞を起こすもの
食道に異物が詰まると緊急性を要する事態となります。胃まで通過できずに食道に詰まると気道を圧迫し呼吸困難を起こし、窒息死する場合もあります。
意外かもしれませんが大きめに切り分けた果物(リンゴやナシ)、ふかしいもなどを飲み込んで詰まらせることがあります。ちょっとテーブルの上に置いていたものを・・・というケースもあります。犬は咀嚼をしないので注意しましょう。
・おもちゃ 見かけは大きくてもつぶれると小さくなるもの 柔らかいボールなど
中毒症状を起こすもの
・飼い主が使用しているもの(人間の薬 タバコ サプリ など)
・身近にあって中毒性の高いもの(チョコ キシリトールなど)
・エチレングルコース
・害虫駆除剤 除草剤 乾燥剤
・観葉植物(シクラメン ユリ ポインセチア など )
症例は少ないかもしれませんが実は侮れないのが観葉植物です。クリスマス近くになるとお部屋にポインセチアの鉢植えを飾る人が多くなってきます。「可愛いワンちゃんとポインセチア」、インスタ映えする写真になるので人気です。しかし、管理はきちんと行いましょう。
【死亡例紹介】
10キロの中型犬がポインセチアの葉をまるごと食べ、来院は6時間後。ポインセチア中毒の症状である「嘔吐・下痢・皮膚炎」などの症状もなく、血液検査も異常なし。点滴処置後に出現するかもしれない症状を説明して帰宅。翌朝には死亡していたとの連絡があったそうです。既往歴もなく、ポインセチアが原因と考えられるケースです。
中毒を起こす可能性のある植物や食べ物は以下のサイトで詳しく説明しています。ぜひご一読ください。
犬や猫の誤飲を防ぐにはどうしたら良い?
犬の誤飲が起こる状態としては
・ものがある
・関心を持つ
・口にする
・飲み込む
誤飲を防ぐためにはこの流れをどこかでブロックすればよいことになります。
①犬猫の行動範囲は常に整理整頓
家の中をペット目線の高さでみてみましょう。
どうでしょうか?いろいろなものが目につきませんか?
まずは、興味を持つものを知って犬の生活範囲から撤去しましょう。
【犬や猫が興味を示すもの】として
・動きのあるもの 動くおもちゃ 紐や糸(飼い主さんの匂いがついていればなおさら)
・好きなにおいや味がついているもの
・子どもがお菓子を触った手でそのまま触った物 コインやアクセサリーなどなど
・保湿ティッシュ(ショ糖が含まれている)
・ごみ箱(誘惑的なにおいがします ペットにとっては宝の山)
・ソックス、衣類、マスク、イヤホンなど 飼い主の匂いのついたもの
・飼い主が口にしているもの(タバコ 薬 サプリ など)
②拾い食いをさせない・何でも咥えないようにしつけをする
散歩の途中で拾い食いをする場合、一つの方法としては下(地面)に注意を向けるのではなく、飼い主さんの方に注意を向けさせます。
犬の好きそうなおやつ(少し大きさがあって齧れるものの方がよい)、時々散歩の途中でなめたりかじったりさせながら歩きます。下を向きそうなタイミングで匂いをかがせたり、少し食べさせたりしながら散歩しましょう。
拾い食いの癖のある犬は、矯正するのも難しい場合もあります。どうしても治らない場合は口輪をすることもやむを得ない場合もあります。
③口に何かを咥えているときに騒がない
犬が何か咥えている時に騒ぐと犬が勘違いする場合が多々あります。「飼い主さんに関心を持ってもらえる・構ってもらえる・よいこと楽しいこと」という思考にたどり着くケースが多いようです。
慌てないで、冷静に、「ちょうだい」と言って離させる訓練をしておきましょう。また、犬の好きなおやつや物を用意しておいて「交換」する練習の方がやりやすいかもしれません。
訓練というと何か難しく感じるかもしれませんが、遊びの一環として咥えているのもを「頂戴」や「交換」というコマンドで渡すと、ご褒美がもらえるという経験の積み重ねです。
④人の食べ物を与えない
可愛いから、お腹がすいていそうだから、とついつい人の食べ物を与えていると、犬が「食べてもよいもの」と理解するようになってしまいます。「家族だもの」と、ついついおすそ分けしたい気持ちは抑えましょう。
根本的に「犬」と「人間」の食べ物は異なるということを理解しておきましょう。
⑤飼い主が食べさせてはいけない・危険な物を理解する
「何回も吐いているんです」と動物病院を受診する人の中には「これ、食べたらいけないんですか?」と驚かれる飼い主さんもいらっしゃるようです。「前に飼っていた犬は食べても何ともなかったのに・・・どうしてこの子は」という場合もあります。
動物にも個体差があり感受性がことなります。食べても症状がでない犬もいれば、少しでも激しい症状が出る場合もあります。
まず、飼い主さんが食べさせてはいけないものをきちんと理解することが大切です。
⑥季節の行事がある日は要注意!
年末年始。行楽シーズン。野外でのBBQ。人にとっては楽しいイベントです。
できればこんなとき、ペットはご遠慮願いたいものです。一緒に楽しみたい気持ちも理解できますが、野外にはいろいろな誘惑もあり、危険な物も落ちているかもしれません。
BBQで人間が食べた残りの骨を犬に食べさせているシーンも時々見かけますがこれは危険な行為です。
またバレンタインのシーズンには手作りチョコを作る人も多いでしょう。管理には十分気をつけましょう。
ペットが誤飲しやすいものとは?
ペットの誤飲を防ぐためにはどのようなものが誤飲しやすいか知って対策を立てる必要があります。
誤飲しやすいのは生活圏内にある身近なもので小さくて口に入りやすいもの、ペットが興味を持つものということになります。
獣医師172人に聞きました~犬・猫が誤飲するもの~のアンケート結果の上位5位を紹介します。
「診察経験のある人数・( )内は死亡事例経験人数」
1位 ひも 150人(27人)
2位 靴下やタオル、雑巾などの布類 145人(13人)
3位 団子や焼き鳥などの竹串 138人(9人)
4位 果物や梅干しの種 150人(8人)
5位 石や砂 148人(8人)
補足:誤飲をしても自然と出ることがある?
誤飲したものが小さくて、しかも小量な場合はウンチと一緒に排泄される場合がほとんどです。
犬の誤飲を自己判断で様子観察をしてもよいのは「量を飼い主さんが正確に把握していて」「誤飲したものが危険性のないもので」「小さくて」「少量」な場合です。
犬の大きさによりますが、小型犬ならミリ単位の異物なら様子をみて翌日からウンチの中に出てくるかどうか確認をしましょう。不安な場合は専門家の指示をあおぎましょう。
楽天ペット保険やPS保険などのように24時・365日、電話で獣医師に相談できるサービスが付帯しているペット保険もあります。またアニコムでは時間制限はありますがLINEで直接獣医師に相談できます。
動物病院がお休みや時間外のときに気軽に相談できる便利なサービスです。
人間の食べものでも犬が誤飲すると危険なものが多い!
比較的知名度が高いのが玉ネギやチョコレートではないでしょうか?
「玉ネギ、犬は食べないでしょう。」と思われるかもしれません。確かに生の玉ネギを食べるという話はあまり聞かないように思います。
しかし、これは調理済みの物・乾燥した物も含みます。ギョーザやハンバーグ、スープやオニオンフライなど犬の食べそうなものはたくさんあります。
犬が食べると危険な食べもの 5選
犬にとって有害なものはたくさんありますが、ここで人が日常的に口にしているもので、犬に危険な食べ物をいくつかご紹介します。
これらは口にすると重篤な症状を引き起こす危険性のあるものです。これらの食品は犬の感受性も個体差が大きく、無症状のこともあれば少しでも重篤な症状をおこすこともあるので注意しましょう。
① 玉ネギ(ネギ ニラ ニンニク エシャロット らっきょ わけぎ)
② チョコレート
③ ぶどう・レーズン
④ キシリトール
⑤ 鶏の骨・魚の骨(食べ物ではありませんが)
①【ネギ類】(特に玉ネギ・ニラは毒性が強い)
成分:アリルプロピルジスルファイド
作用:赤血球が破壊される 一度の大量の赤血球が破壊(溶血)されるため溶血性貧血となる
症状:貧血 一日~数日で症状が出る 嘔吐 下痢 貧血 元気がなくなる 重症化すると呼吸数の上昇 頻脈 黄疸 褐色尿
最悪死亡することもある 誤食したのを見ていなくても褐色尿が出ればシートを持って動物病院へ
②【チョコレート】
成分:テオブロミン カフェインも同様な作用がある
作用:犬はテオブロミンの分解と排泄に時間がかかるため容易に許容量を越えてしまう
症状:最初は消化器症状(嘔吐・下痢など) 次いで神経症状(運動失調・痙攣など)
6~12時間で症状が出ることが多い 24時間は経過観察が必要
※危険なのは特に高カカオチョコレートやブラックチョコなどカカオ成分の多いもの
5㎏の小型犬ならブラックチョコレート三分の一枚でも危険
症状:元気消失 食欲減退 嘔吐 下痢 吐血 腹痛 乏尿 無尿
6~24時間で発症
※100%ぶどうジュースやケーキ、パンなどにも注意が必要
・インスリンの大量部分泌による低血糖(意識低下 けいれん 脱直 昏睡 など)
・肝臓へのダメージ(肝不全 血液凝固不全)
・6キロの犬:ガム一個でも中毒症状でることもある
・30分で症状がでることもあれば12時間後で発症することもある
⑤【鶏や魚の骨】(食べ物ではないがあえて列挙)
鶏や魚の骨(人間が食べ残したもの)のは与えない!
※ 鶏の骨は中が空洞になっており、犬が一度かじると断片が尖った状態になります。その尖った部分が消化管を傷つけることもあります。また、消化管穿孔をおこすと大事に至るので注意しましょう。鯛や鯖などの大きな骨も同様です。
犬が異物を食べた!異物誤飲の症状や対処法を解説!
目の前でワンちゃんが異物を食べた!飼い主さんの「ひやっ」とする瞬間です。そんな時、何をすればよいのでしょうか?
犬が誤飲した時の症状と対処法は?
症状
① 異物誤飲に共通する症状(中毒性のあるもの、物理的閉塞を起こすもの)
嘔吐・下痢・食欲不振・元気消失・流延 など
② 中毒性のあるものを誤飲した場合
危険な物を大量に食べた場合、多くは嘔吐します。それでも全部が排泄されなかったり、嘔吐しない場合「食べた物」によって症状が異なります。消化器症状・神経症状・循環器症状・呼吸器症状など様々です。
③ 消化器閉塞を起こした時の症状
【食道閉塞】 症状:食直後(数秒から数分)で流延・苦悶を伴う嘔気、重度の場合気道圧迫による呼吸困難
咽喉頭および食道内異物の犬 75 症例(北摂夜間救急動物病院)によると、食道内異物が多いのは5㎏未満の小型犬が72%、年齢は0~3歳が30.7% 犬種としてはチワワやヨーシャテリアが多い。
誤飲したものは犬用のおやつ(砂ぎもジャーキーなど)45.3% 次いで果物や野菜類(トウモロコシの芯、大きめに切った梨など)(30.0%)となっています。
いずれも食道を通過すれば胃で消化されるのですが、犬は咀嚼をしないので果物でも詰まらせてしまいます。
食道は組織的に内側からの圧迫に弱く、その後の修復能力も高くありません。食道の損傷は後遺症を残すこともあります。
【胃閉塞】 胃が閉塞するのは胃の幽門部(小腸への移行部)で完全に胃がふさがれ、胃の内容物を嘔吐するようになります。
【腸閉塞】 腸が詰まると消化管の流れがストップしてしまいます。完全に詰まると嘔吐や腹痛が次第に強まってきます。
特に危険な症状とは
・震えや痙攣(中毒による神経症状 腸閉塞の悪化による強度の痛みや敗血症)
・嘔吐を何度も繰り返している 嘔吐が止まらない
・呼吸が苦しそう(中毒・喉がつまっている)
・グゥグゥという苦しそうな音が喉から聞こえる 吐き出そうとしているが喉の奥に何かが引っかかっている
これらの症状が見られたら早急に対処する必要があります。病院を受診しましょう。
対処法
異物を誤飲するのを目撃したら、冷静に状況を細かく記録しましょう。
「何時・何を・どれくらい食べたか」という具体的かつ正確な情報が診断の大きな助けになります。
空袋や断片など何か手掛かりになるものを確保。持ち運びができないものなら写真を撮りましょう。嘔吐したなら吐物も写真に撮っておくとよいでしょう。
動物病院の受診はなるべく早い方がよいです。もし、症状がなくても胃の中にある内なら吐かせることもできます。
誤飲・誤食は自分で何とかできるものではありません。
動物病院で適切な処置を受けることが大切です。
誤飲は無症状であることも多い!
異物を誤飲しても必ずしも症状が出るとは限りません。むしろ無症状のことの方が多いでしょう。しかし、症状がないからと言って安全ということには結びつかないでしょう。
実際に何日もたって、誤飲した物がウンチに交じって出てきたという話はよく見聞きします。出てきたことは「ラッキー」と言わざるを得ません。
しかし、誤飲した物によっては中毒を起こす、あるいは消化管の穿孔や閉塞をおこすこともあります。
いずれにしても誤飲の可能性のある時は、一度動物病院に相談することをお勧めします。
誤飲したものを飼い主が吐かせても大丈夫?
食塩水をのませる、オキシドールを飲ませるなどの方法で吐かせるなどの処置もあるようですが、おすすめはできません。
食塩水はミネラルバランスを崩してしまい、神経症状などを引き起こします。
オキシドールは粘膜にかなり強い刺激を与え潰瘍になることもあり、吐き気が止まらなくなる可能性もあります。
また吐物が逆に食道に詰まる・気道に入り込んでしまう場合もあります。
自己判断で吐かせるのはリスクが高すぎます。
動物病院での誤飲の処置はどんなものがあるの?
①催吐処置
胃の中にまだ誤飲した物があれば吐かせることが可能です。
吸収されると中毒になる危険性のあるもの、腸に流れると腸閉塞をおこすおそれのあるものは吐かせて出します。
誤飲したものがまだ胃の中にある場合(理想は1時間以内)にトラネキサム酸(トランサミン)を注射する方法が現在は主流となっています。
トラネキサム酸は普段は止血剤として使用される薬ですが、急速に静脈注射をすると嘔吐するという副作用を利用する方法です。
②点滴・肝薬の投与
点滴の目的は大きく2つあります。一つは嘔吐を繰り返した場合脱水になるのを改善する方法、もう一つは体内に毒性のある物質が入った場合排泄を促す目的です。
中毒性のあるものを食べると肝臓に大きな負担がかかるので、肝臓の庇護剤を投与して肝臓の負担をへらします。
③活性炭の投与
犬にとって害のあるものを食べた場合、特に人間の医薬品を誤飲した場合に多く使用されます。活性炭は様々な物質に結合するという特性を生かした方法です。吐かせても残っている有害成分を吸着する効果が期待できます。
④胃洗浄
犬にとって有毒物質を多量に食べた場合(特に人間の薬)や有害な液体など、内視鏡で摘出できない物質を多量に食べた場合に行われます。
⑤内視鏡
誤飲物質が胃の中にあり、催吐処置で対応できなかった場合に行います。全身麻酔は必要ですが、開腹手術をするよりは犬にとっても負担が少ない方法です。
⑥開腹手術
誤飲物質がすでに腸にある場合・胃の中に入っているものが大きくてなおかつ細かく切断できない場合などは胃や腸を切開して取り出す必要があります。
開腹した場合は2~3日は絶飲食のため点滴をおこない、1週間くらいで退院(手術内容による)です。
補足:犬の誤飲が引き起こす腸閉塞とは何?
犬が誤飲したものは口から食道を通って胃の中へ入り、さらに腸への送りこまれ、狭い腸管の中に詰まってしまうのが腸閉塞です。腸が詰まってしまうと当然詰まった処から先に物が通過しません。
また詰まったものが腸管を圧迫しているので腸が血行障害を起こして壊死する場合もあります。腸の一部が壊死している場合、その部分を切除して健康な部分を抜なぐ手術が行われます。
壊死した場所に穴が開いて内容物が腹腔内に流れ出すと腹膜炎をおこします。それが原因で敗血症(血液の中に細菌が入り込む)と重篤な症状となり、大変危険な状態になります。
異物誤飲で腸閉塞を起こした場合、早急に閉塞を解除(手術)が必要です。
誤飲しやすい犬種がある?
誤飲は活発で好奇心旺盛な犬に起こりがちと言われています。また性格も関係しているようで、拾い食いの癖のある犬は何度も誤飲を繰り返します。どの犬種でも誤飲・誤食する犬はいますが犬種で見るとよく挙げられるのが次の通りです。
・ゴールデン・レトリーバー
・ラブラドール・レトリバー
・ウェルシュ・コーギー・ペンブローク
・チワワ
・ミニチュア・ダックスフンド
犬の誤飲の治療費はペット保険で補償される?
犬の誤飲の治療費は基本的にほとんどのペット保険で補償されます。しかし必ず保険約款や重要事項説明書は確認するようにしましょう。
誤飲による治療費だけを考えると、「手術・入院に特化したプラン」でもそこまで問題はありません。
しかし、日常使いができるという点や、心理的にも動物病院に行きやすくなるという点で「通院・入院・手術を補償するフルカバー型のペット保険」をおすすめしています。
誤飲の手術費用は平均値で約13万円、高い場合20万円近くかかることもあるため、フルカバー型のペット保険の中でも、誤飲が心配な方は、一回当たりの手術の補償限度額に注目することをおすすめします。
犬の誤飲におすすめのペット保険は?
最後に、今回ペット保険比較アドバイザーでは猫におすすめのペット保険を2社ご紹介します。
おすすめの理由としては上記で説明した猫及びサイベリアンのペット保険の選び方、ポイントや条件をすべて満たしているからです。
ただし、細かい補償内容や金額についてはもちろん違いがありますので必ず重要事項説明書や保険約款、パンフレットや公式HPを確認してください。
ちなみに、気になる保険料を条件が近いプラン同士で比較すると、保険料が高い順に①アニコム②アイペット、となります。※0~15歳までの保険料の総額
メリット | デメリット | |
・複数回通院にも強い ・手術は一回当たり最大14万円まで補償(補償割合70%プラン) | 保険料が高い ※健康割増引制度により保険の利用状況によって割増引の適応【可】 | |
・12歳まで加入可能 ・手術は一回当たり最大15万円まで補償(補償割合70%プラン) | 保険料が高い ※猫は9歳から犬は12歳から値上がりなし |
当社保険は保険金のお支払いを理由として、契約の継続をお断りすることはございません。終身でご継続いただけます。
引用:アイペットHP よくある質問「保険金が支払われた場合に、契約が継続ができないことはありますか?」
弊社の商品の保険期間は1年間ですが、ご契約には「継続契約特約」を適用して引受をさせていただいておりますので、解約等のお申し出がない限り満期後は、原則ご契約は自動的に継続となり、終身ご継続いただけます。
※ご注意
・ご契約者または弊社より別段の意思表示があった場合には、ご契約は継続となりません。
・自動的にご契約が継続とならない場合や、商品改定により保険料、補償内容などが変更となる場合があります。
引用:重要事項説明書
補足:先天性疾患が発症する前に!遅くとも7.8歳までには加入しよう
ペット保険は、加入する前に発症している先天性疾患や既に発症している病気や疾患は補償の対象外となります。
そのため、病気になってから保険に加入しようとしても、肝心のその病気の治療費は補償の対象外になってしまいます。
また、加入後に発見できた病気であっても先天性疾患を補償の対象外としているペット保険や、慢性疾患にかかると更新できない保険もあります。
また一般的にペット保険では8~12歳で新規加入年齢を設定していることがほとんどです。早いところでは7歳で新規加入を締め切るペット保険もあります。
「健康なうちに加入しないと意味がない」「また年齢制限に引っかからないから保険の選択肢が広がる」という意味で遅くとも7~8歳までにはペット保険の加入、少なくとも検討をすることをおすすめします。
補足ですが、アニコムやプリズムコールではシニア向けのペット保険商品もあります。
高齢・シニア向けのペット保険については下記の記事でも解説していますのでぜひ参考にしてください。
よくある質問
犬がペットボトルのキャップを誤飲してしまいました。様子をみていて大丈夫でしょうか。特に症状はありません。
一般的に犬の誤飲物がウンチとして出せる大きさは小型犬で1センチ、中型犬で1.5センチ、大型犬でも2センチ程度と言われています(腸の状態によって異なってきます)。ちなみにペットボトルの直径は3センチあります。一円玉の直径が2センチです。ウンチとして出るかどうかという以前の問題として、食道に詰まってしまわなかったことがラッキーだったと考えるべきです。
内視鏡による異物摘出はペット保険では手術扱いになるのですか?
診療を目的とし、メス等の器具を用いて患部または必要部位に切除、摘出等の処置を施すことをいい、全身麻酔を用いた次のいずれかの処置も含むものとします。
① 歯科処置
② 整形外科疾患の非観血的処置
③ 食道、胃等における異物除去目的または組織採取目的のための内視鏡的処置
ペット保険は必要?
ペットには公的な保険制度がありません。そのため治療費の自己負担額は100%です。
もしもの時に、お金を気にせずペットの治療に専念できるよう健康なうちにペット保険に加入することをおすすめします。
また、病気になった後では加入を断られる可能性があります。
ペット保険比較表や記事を活用するのがおすすめ!
ペット保険比較アドバイザーでは、ペットに合った保険の選び方やペットの健康に関するお役立ち記事を公開しております。
記事と合わせて比較表も活用することで、ペットと飼い主様に合った保険を選ぶことができます。
また、保険会社のデメリット等も理解できるので、後悔しないペット保険選びができます。
ペット保険への加入を検討されている方はぜひご活用ください。
ペット保険比較アドバイザーでは公式LINEでの「ペット保険の適正診断」「保険相談サービス」を開始いたしました。
従来の比較表だけではわかりづらいペット保険の補償内容の範囲や充実度を踏まえたうえで、保険の募集人資格 を持った、ペット保険のプロが提案させていただきます。
【犬の誤飲・手術費用はいくらかかる?その他の処置費用も徹底解説!】まとめ
今回、ペット保険比較アドバイザーでは
・犬の誤飲の症状や対処法
・犬の誤飲に関する治療費
仕事柄犬猫の死に立ち会うことが、一般の方より多いんですが、1番やるせないなくなり方は交通事故と異物誤飲による死因がやるせない。 不注意でなくなる死亡……。緩んだ首輪。ぬいぐるみの綿。カーペットの紐。木の枝。ペットボトル。死ぬんだよ。呆気なく。