この記事では
・犬の腫瘍切除手術で実際にかかった値段
・犬の腫瘍摘出手術の費用を抑える方法
・筆者の愛犬の血管肉腫治療で実際にかかった費用
この記事では
アイペット損保が調査した「保険金請求が多い傷病のランキング(手術)」によると、犬の場合は腫瘍が第1位でした。
保険金請求が多い傷病のランキング【手術】
傷病名 | 診療例 | 参考診療費 | |
1位 | 腫瘍 | 皮膚腫瘍を手術で取った例 | 90,400円 |
2位 | 歯周病 | 全身麻酔をして歯石除去と抜歯をした例 | 97,300円 |
3位 | 骨折 | 折れた骨を手術でつなげた例 | 308,700円 |
4位 | 異物誤飲 | 全身麻酔をして異物を内視鏡で取り出した例 | 77,760円 |
5位 | 膝蓋骨脱臼 | ずれた膝蓋骨を手術で戻した例 | 254,000円 |
参考:アイペット損保「ペットの保険金請求が多い傷病のランキング2021」
腫瘍を手術で切除するとなると、最低でも10万円程度かかるのが相場のようです。
また、1度で腫瘍をすべて摘出できなかった場合や、腫瘍が再発した場合はその度に手術を行わなければならないため、数倍の費用がかかるでしょう。
ここでは、犬の腫瘍摘出手術にかかる費用相場を紹介していきます。
メラノーマとは、色素を作る細胞のメラノサイトが癌化した腫瘍です。
メラノーマは皮膚と粘膜の境目にできることが多く、目や口の中などに発生します。
小型犬がメラノーマになり3日間の入院と手術をした場合の手術費用は下記の通りです。
内容 | 料金 |
再診料 | 1,000円 |
静脈留置 | 2,500円 |
血液検査 | 3,000円 |
レントゲン | 3,000円 |
麻酔 | 28,000円 |
滅菌消耗品 | 3,000円 |
腫瘍切除 | 80,000円 |
輸液剤・注射薬剤・注射処置料 | 3,000円 |
入院 | 15,000円 |
内服薬 | 1,500円 |
合計 | 140,000円 |
上記のほかにも、初診でかかった際のX線検査や超音波断層検査、術後の通院でかかる費用などを合わせると、20万円近くになるでしょう。
次は、犬が脳腫瘍になった場合の手術費用についてです。
脳腫瘍とは、頭蓋内に発生する腫瘍の総称で、老犬が発症しやすいとされています。
例えば犬が脳腫瘍になり、手術で腫瘍を摘出後1ヶ月の入院をした場合の手術費用は下記のようになります。
内容 | 料金 |
診察料 | 1,500円 |
画像診断料 | 6,000円 |
MRI検査 | 90,000円 |
MRI造影検査 | 12,000円 |
X線検査 | 33,000円 |
CT撮影 | 55,000円 |
静脈留置 | 2,500円 |
麻酔 | 28,000円 |
滅菌消耗品 | 3,000円 |
腫瘍切除 | 300,000円 |
輸液剤・注射薬剤・注射処置料 | 86,000円 |
入院 | 150,000円 |
内服薬 | 23,500円 |
合計 | 790,500円 |
脳腫瘍の摘出手術はMRI検査やCT撮影をすることもあり、かなり高額になるケースが多いです。
また、MRIを必要とする場合は、下記の検査項目が行われるケースが多く、その場合治療費はより高くなります。※傷病によって項目は異なります
愛犬に悪性腫瘍が見つった場合、体力があって手術することで回復が見込めるなら腫瘍を摘出するのが一般的です。
しかし、すべての腫瘍を取り切れなかった場合や想像以上に腫瘍が広がっていた場合は、術後も抗がん剤治療や放射線治療、緩和治療などを継続して行う必要があります。
抗がん剤は1回で3~5万円ほど、放射線は1回1~5万円ほどかかりますし、それ以外にも診察料や検査料、副作用を抑える吐き気止めなどの内服薬も処方されるかもしれません。
また、たとえ手術で腫瘍を全摘出できたとしても、再発しないとは限らないため定期的に病院へ通い、経過観察をする必要があります。
このように、犬の腫瘍は手術で摘出した後もなにかとお金がかかるのです。
犬の腫瘍摘出手術は、かなり高額な上、費用は基本的に全額負担です。
そのため、高額な医療費を払えずに苦肉の策でクラウドファンディングを活用し、愛犬の治療費を募っている人も少なくありません。
愛犬に腫瘍ができて、手術で摘出する必要が出てきたら「いくらお金がかかろうとも愛犬のために手術を受けさせてあげたい」と思うのが飼い主心というものでしょう。
ここでは、愛犬の腫瘍摘出手術の費用を抑える方法を紹介していきます。
ほとんど動物病院では、手術をする前に大体の費用を教えてくれます。
その段階で一括での支払いが難しいと感じたら、正直に動物病院に相談してみましょう。
病院によっては分割での支払いに応じてくれたり、少しでも治療費や手術費が安くなるような提案をしてくれるかもしれません。
ただ、手術費の分割払いを動物病院に断られることももちろんあります。
本来ならば1回で手術費を支払うのが当然なので、「断られて当たり前」の覚悟を持って相談してみるといいでしょう。
クレジットカードを持っている場合は、分割払いで1回に支払う手術費を安くする方法もあります。
クレジットカード払いに対応している動物病院であれば分割払いが可能なのです。
ただし3回以上分割すると手数料が発生するため、多くても3回払いまでで抑えておくのがいいでしょう。
分割回数が多くなればなるほど手数料がかさみ、トータルの支払い金額が高くなってしまいます。
不測の事態に備え、ペット保険に加入しておくと、手術費用を大幅に抑えられます。
ペット保険は、月々数百円~数千円の保険料を支払うと治療費の一部が負担されるので、高額になりがちな手術をした場合でも持ち出し金額が少なくて済みますよ。
ほとんどのペット保険会社が腫瘍に対しての治療費も補償の対象としています。
ペット保険会社では、通院・入院・手術を補償してくれる「フルカバー型」と、手術・入院に特化した「手術特化型」の2つの商品を扱っているケースが多いです。
「手術特化型」は通院には対応していませんが、「フルカバー型」よりも月々の保険料が安く、約600円から入れる商品もあります。
補償割合はペット保険会社やプランによってさまざまですが、安い保険料で70~90%を補償してくれるところもあります。
筆者の愛犬が2022年3月に血管肉腫になり、病気が発発覚から1か月も立たないうちに旅立ってしまいました。
血管肉腫とは、血管の内側の細胞が癌化する悪性腫瘍です。
血管肉腫は血液の癌なので、血が巡っている場所、つまり体中に腫瘍ができる可能性があります。
愛犬は心臓と腎臓に腫瘍ができていましたが、血管肉腫だと判明した時点でかなり癌が進行しており、手術ではなく抗がん剤での治療が適用となりました。
手術をしなくても、抗がん剤治療は1回5万円ほどかかります。
愛犬は散歩中いきなり倒れ、急いで病院に行って見てもらったら、心臓の膜に液体(心嚢水)が溜まってショック状態になっていると。
心嚢水を抜くために麻酔なしで針を刺したり、ICUに入ったり、倒れた日から4日間入院してまず約10万かかりました。
筆者はどうしても愛犬が血管肉腫であることが受け入れられず、「もしかしたら血管肉腫じゃない可能性もあるのでは?」「手術できる病院があるのでは?」と考え、大学病院に連れていき検査で約6万。
結局大学病院でも手遅れと言われ、元の病院で心嚢水を抜く処置や吐き気止めの点滴、抗がん剤治療などで約15万。
1回の抗がん剤治療をしたのち、2回目の抗がん剤を打つ日に愛犬は亡くなってしまいましたので、治療費はそこまでかかっていませんが、それでも1ヶ月のうちに約30万円ほどかかりました。
30万円支払ったことに後悔はしていませんし、惜しい気持ちも全くありません。愛犬がもっと長生きしてくれるなら、貯金の限りいくらでも治療費は払う覚悟はできていました。
ですが、愛犬がいなくなって半年が経ち、クレジットカードの明細を眺めながら「万が一の時に備えておくのは大切だな」と少しだけ思っています。※手術特化型のペット保険には加入していました
犬はどんな病気にかかるかわかりません。愛犬が病気になったとき、自分が職についているかも、貯金があるかもわからないのです。
私が愛犬の治療に30万円を躊躇なく払えたのは、貯金と職があり、ラッキーだったからです。
もっと長生きしてくれたら嬉しかったですが、治療費にいくらかかっていたかは想像もできません。
筆者にはもう一匹愛犬がいるのですが、今回の経験を踏まえ、手術特化型から通院までカバーしてくれるフルカバー型のペット保険への加入を検討中です。
犬の腫瘍・癌の治療費はほとんどのペット保険で補償の対象としています。しかし保険会社によっては癌を補償の対象外としていることもあるので必ず重要事項説明書や保険約款を確認するようにしましょう。
例えば、SBIプリズムコールでは補償開始から45日間を癌の待期期間としており、この間に癌にかかった治療費は補償の対象外となってしまいます。
ペットには公的な保険制度がありません。そのため治療費の自己負担額は100%です。
もしもの時に、お金を気にせずペットの治療に専念できるよう健康なうちにペット保険に加入することをおすすめします。
また、病気になった後では加入を断られる可能性があります。
ペット保険比較アドバイザーでは、ペットに合った保険の選び方やペットの健康に関するお役立ち記事を公開しております。
記事と合わせて比較表も活用することで、ペットと飼い主様に合った保険を選ぶことができます。
また、保険会社のデメリット等も理解できるので、後悔しないペット保険選びができます。
ペット保険への加入を検討されている方はぜひご活用ください。
ペット保険は、加入する前に発症している先天性疾患や、既に発症している病気や疾患は補償の対象外となります。
そのため、病気になってから保険に加入しようとしても、肝心のその病気の治療費は補償の対象外になってしまいます。
また、加入後に発見できた病気であっても先天性疾患を補償の対象外としているペット保険や、慢性疾患にかかると更新できない保険もあります。
一般的にペット保険では8~12歳で新規加入年齢を設定していることがほとんどです。早いところでは7歳で新規加入を締め切るペット保険もあります。
「健康なうちに加入しないと意味がない」また「年齢制限に引っかからないから保険の選択肢が広がる」という意味で遅くとも7~8歳までにはペット保険の加入、少なくとも検討をすることをおすすめします。
補足ですが、アニコムやプリズムコールではシニア向けのペット保険商品もあります。
高齢・シニア向けのペット保険については下記の記事でも解説していますのでぜひ参考にしてください。
今回、ペット保険比較アドバイザーでは