この記事では
・スコティッシュフォールドがかかりやすい病気
・スコティッシュフォールドを長生きさせるコツ
この記事では
「折れ耳」と「スコ座り」と呼ばれる人間のような独特な座り方が特徴の、スコットランド原産の猫です。
突然変異で生まれた折れた耳の猫を元に交配してできた品種で、折れ耳同士だと75%以上、折れ耳と立ち耳でも50%の確率で折れ耳の子が生まれます。
折れ耳の子はほぼ100%、遺伝による病気のリスクがあります。
現在では遺伝による病気のリスクがある交配は禁止されています。
そのため折れ耳同士の交配はせず、立ち耳との交配かアメリカンショートヘアやブリティッシュショートヘアとの異種交配が原則です。
被毛は短毛と長毛がいて、毛色もさまざま。身体は全体的に丸みを帯びており、しっぽは短めです。
比較的運動量が少ないため、おとなしい猫だといわれます。性格は穏やかで人懐っこく、甘えるのが好きな猫です。
スコティッシュフォールドはどれくらいの寿命なのでしょうか?
以下では平均寿命と最高寿命を解説します。
スコティッシュフォールドの平均寿命は10~13歳です。完全室内飼いの猫の平均寿命が16歳程度ですので、寿命がやや短い印象です。
遺伝的な病気にかかりやすく、予防が難しいため寿命が短くなるようです。
参考:【令和3年
全国犬猫飼育実態調査/一般社団法人ペットフード協会】
スコティッシュフォールドの最高齢は、確認されている限りでは日本に住んでいた17歳とされています。
スコティッシュフォールドの年齢を人間に例えるとどれくらいでしょうか?
以下の表を参考にしてください。
スコティッシュフォールドの年齢 | 人間に例えた年齢 |
---|---|
1ヶ月 | 1最 |
2ヶ月 | 3歳 |
3ヶ月 | 5歳 |
6ヶ月 | 9歳 |
9ヶ月 | 13歳 |
1歳 | 17歳 |
2歳 | 23歳 |
3歳 | 28歳 |
4歳 | 32歳 |
5歳 | 36歳 |
6歳 | 40歳 |
7歳 | 44歳 |
8歳 | 48歳 |
9歳 | 52歳 |
9歳 | 52歳 |
10歳 | 56歳 |
11歳 | 60歳 |
12歳 | 64歳 |
13歳 | 68歳 |
14歳 | 72歳 |
15歳 | 76歳 |
16歳 | 80歳 |
17歳 | 84歳 |
18歳 | 88歳 |
19歳 | 92歳 |
20歳 | 96歳 |
3歳を過ぎると1年で4歳ずつ年を取っていきます。7歳でシニア期を迎え、段々と活動量が減り寝てばかりいるようになります。
参考:獣医師広報板-犬・猫と人間の年齢換算表 (vets.ne.jp)
スコティッシュフォールドは骨軟骨異形形成症ありきの交配を続けてきたため、遺伝性の病気にかかりやすいです。 以下ではスコティッシュフォールドがかかりやすい病気や治療法について解説します。
骨軟骨異形形成症は、骨が成長するときに軟骨に形成異常を起こす病気です。
骨軟骨異形形成症がみられる主な品種は
などがあげられます。
ペルシャ・エキゾチックショートヘアー・ヒマラヤンなどは鼻の軟骨の形成異常のため、鼻がぺちゃんこです。
またスコティッシュフォールドやアメリカンカール、マンチカンは耳や足の軟骨の形成異常によって折れ耳や短足になります。
骨軟骨異形形成症は進行性の病気で、年齢を重ねるごとに手足の先端が変形して膨れ上がり「骨瘤(こつりゅう)」と呼ばれる骨の塊(コブ)が形成されていきます。
痛みを伴うため「スコ座り」は変形してしまった関節の痛みをやわらげようと、足首などに負担のかからない楽な姿勢をとっていると言われています。
親から受け継ぐ顕性遺伝(優性遺伝)によるものです。
主な症状は以下のとおりです。
根本的な治療法はなく、痛みと炎症を緩和させるための投薬による対症療法がメインです。
心臓の筋肉が分厚くなって、心臓の機能が低下する病気です。
心臓の筋肉が肥大して心臓の内側が狭くなってしまうため新しい血液をうまく取り込めず、送りだす血液が不十分になります。血液の流れが悪くなるので全身の他の臓器にも影響したり、血栓ができやすくなったりします。
血栓ができると「動脈血栓塞栓症」をひきおこす可能性があります。動脈血栓塞栓症は猫の場合後ろ足の分かれ目にある大動脈に血栓が詰まるため、足腰が立たなくなります。
遺伝によるものです。
初期はほとんど無症状ですが、やがて以下のような症状が出てきます。
投薬治療がメインです。
これらの薬を使いながら経過を見ます。
腎臓に嚢胞という(中に液体が入った)袋状のものができて、腎臓の働きが徐々に低下していく病気です。正常な細胞の代わりに嚢胞が増えていくため、腎臓が機能不全に陥ります。
遺伝によるものです。
多発性嚢胞腎では腎臓がうまく機能しないため
などの症状が見られます。
腎臓が機能低下をおこすと尿をうまく作れないため、尿と一緒に排出されるはずの毒素が体に溜まります。病気が進行すると、最終的には死の危険性もある尿毒症を発症します。
慢性腎不全への対応と同じ治療になります。
腎臓は一度失われた機能が戻らないため、腎臓を治すのではなく残された腎臓への負担を減らすことが目的になります。
腎臓病の療法食がメインです。
同時に皮下輸液と呼ばれる栄養と水分の補充や老廃物を除去する活性炭の使用、高血圧や貧血の薬などが使われます。
猫の三角の耳の内側は外耳と呼ばれ、外耳に様々な原因によって炎症が起こる病気です。
猫が外耳炎になる原因は
などがあります。特にスコティッシュフォールドは外耳が垂れ下がって通気が悪いため、細菌や真菌(カビ)などが繁殖しやすいです。また異物が入り込んだ場合も出口がふさがれているため、出にくい構造です。
外耳炎の症状は以下のものがあげられます。
やたらと耳をかいたり頭をふる仕草が目立つようなら、外耳炎の可能性を疑いましょう。
投薬治療がメインになります。
耳をよく洗浄して溜まった耳垢や細菌などを取り除き、抗生剤や抗真菌剤などの点耳薬で炎症を抑えます。
腎臓から尿管、膀胱、尿道の中に結晶や結石ができる病気です。結晶や結石が膀胱や尿道を傷つけたり、尿道に詰まったりします。
尿路結石症の原因ですが
があげられます。スコティッシュフォールドは尿路結石症のリスクが標準に対して2.3倍高く、シュウ酸カルシウム結石を発症する確率は標準の6.1倍に達すると報告されています。このことからスコティッシュフォールドがこの病気になる原因は遺伝によるものと言えます。
参考:日獣会誌68, 761~764(2015)
参考:猫におけるシュウ酸カルシウムおよびリン酸マグネシウムアンモニウム尿石症の患者関連因子とリスクとの関連:米国獣医師会誌第217巻第4号()
(avma.org)
尿路結石症になると以下の症状が見られます。
結晶や結石により膀胱炎を発症したり、結石が大きいと急性腎不全 になったりします。腎不全はその後尿毒症を発症します。尿毒症は腎臓の機能低下により毒素が溜まる病気で、最悪死に至ります。
治療は結石の除去と食事療法がメインです。
食事により結晶や結石が出来にくい体質に改善しながら、投薬治療や外科手術により結晶や結石を小さくしたり除去したりします。
スコティッシュフォールドは遺伝性の病気にかかりやすいです。しかし飼い主による日々の観察や定期的な検査、遺伝子検査などを行うことで、病気の早期発見や猫の健康維持につながります。
以下ではスコティッシュフォールドを長生きさせるコツを解説します。
スコティッシュフォールドに長生きしてもらうため、定期的な獣医師による健康診断を受けましょう。飼い主が気づかない疾患を早期発見できることもあります。
信頼できる良いかかりつけ医を見付けるのも、スコティッシュフォールド長寿のコツの一つです。一般的に、成猫は年に1回が目安ですが、シニア猫や持病のある猫は半年に1回以上がおすすめです。
スコティッシュフォールドを長生きさせるためには健康的な食事が欠かせません。
基本は高たんぱく質で低カロリーな食事を心がけましょう。
キャットフードを選ぶときは
を確認して選んでください。
一般的なキャットフードであれば、総合栄養食のものを選べば猫に必要な栄養素がバランスよく入っています。
またスコティッシュフォールドは関節に問題がある品種でもあるため、グルコサミン、コンドロイチンを配合しているものを選ぶとよいでしょう。
グルコサミン、コンドロイチンは関節を滑らかに動かす軟骨をサポートしてくれます。
食事を与えるときは量や回数をコントロールして体重管理を行い、肥満を防ぐようにしましょう。
以下は1日に必要なカロリーと1日にあげる食事の回数の目安になります。
年齢 | 1日に必要なカロリー | 1日にあげる食事の回数 |
1歳未満 | 猫の体重×100~200kcal | 1日3~5回 |
1歳~6歳 | 猫の体重×80kcal | 1日2回 |
7歳~ | 猫の体重×60~70kcal | 1日2~4回 |
※シニア期の猫には硬い食べ物は避け、できるだけ消化の良い食事を与えるようにしましょう。
病気になったら療法食に切り替えることで、食事により猫の健康管理を行うことができます。
療法食は治療や症状の改善を目的に、それぞれの病気にあわせて臓器に負担がかからないよう栄養バランスが調整された食事です。
一般的にはパックで売られているドライタイプと缶で売られているウェットタイプがあり、獣医師の指示のもと与えます。
スコティッシュフォールドを長生きさせるためには、完全室内飼いをお勧めします。
外飼いの猫の平均寿命は13.75歳で、室内飼いの16.22歳と比べると約2.5年の差があります。
参考:【令和3年
全国犬猫飼育実態調査/一般社団法人ペットフード協会】
この差は室内環境と外の環境の厳しさの差とも言えます。なぜなら家の外に猫を出してしまうと、様々なリスクが高まるからです。
具体的には
などがあげられます。
また獲物をとろうと自分の家の猫が他の動物に危害を加えたり、子猫の場合カラスに襲われたりと、他の動物とのトラブルにもなります。
家に閉じ込めて生活させるのは可哀そうな気がします。しかし雨風をしのげて気温の寒暖差がなく、ご飯が確実にもらえる室内環境のほうが外で暮らすよりも幸せです。
猫が玄関のドアを開けた瞬間外に飛び出さないよう、脱走防止の対策をして外に出さないようにしましょう。
繁殖期になったスコティッシュフォールドには多大なストレスが掛かります。避妊去勢手術を行うことで、問題行動が減ったり病気が防げたりするメリットがあります。
多少のデメリットあるものの、スコティッシュフォールドの去勢・避妊手術は繁殖期のストレスが減ること、病気の予防ができることで長生きにつながります。
オス
メス
オス、メスともに全身麻酔で行うため、どうしても麻酔のリスクがあります。またホルモンバランスが崩れ、太りやすくなります。特に運動量が少ないスコティッシュフォールドは肥満に注意が必要です。
遺伝子検査をすることで、遺伝性の病気そのものや発症リスクがないか確認できます。遺伝性の病気は予防できませんが、早期発見により早めから治療できるなど対策が取れます。将来の発症リスクに備えた経済的な準備も必要でしょう。
遺伝子検査をすることで病気の発症リスクに備え
など腰や足に負担をかけない生活をすることで、寿命を長くできます。
【費用】
ここでは猫及びスコティッシュフォールドに合ったおすすめのペット保険、比較・選び方について解説します。
全てのペット保険で補償の対象外である去勢の費用等の項目は除き、あくまで保険会社・プランで差別化になるポイントに絞って解説します。
他サイトのようなランキング形式ではなく、あくまで目線で解説していきます。
スコティッシュフォールドのペット保険加入の選び方のポイント
①猫のなりやすい病気が補償されるか確認
・歯科治療(歯周病等)
②加入後に発症した先天性、遺伝性疾患が補償されるか
③通院・手術・入院を補償するフルカバー型のペット保険の中でも通院は他社と比較しても手厚いか
④更新の際に「来年度からの傷病や部位補償の対象外」とする可能性がないか
ペット保険は保険会社によって補償する病気や、補償の対象外となる項目が異なります。
中には猫がなりやすい、歯周病を含む一切の歯科治療を補償の対象外としているペット保険も存在します。例えば「プリズムコール」では一切の歯科治療が補償の対象外です。
また、「日本ペット少額短期保険:いぬとねこの保険」では「歯肉に触れる治療は補償されるが、歯に触れる治療は補償の対象外」といった細かい制限があります。
特に歯科治療は保険会社によって補償されるかが異なりますので、必ず保険約款や重要事項説明書を確認することをおすすめします。
また公式HPでも「保険金のお支払いできない事例」の中に記載されていることがほとんどですので必ず確認しましょう。
補足になりますが、予防目的の歯石除去等は全てのペット保険で補償の対象外なので注意しましょう。
猫がなりやすい病気で補償の対象外か確認すべき病気
全てのペット保険で加入前に発症している先天性、遺伝性疾患は基本的には補償の対象外となってしまいますが、加入後に発症した先天性、遺伝性疾患を補償するかどうかは保険会社によって異なります。
猫種によっては、なりやすい遺伝性疾患があります。スコティッシュフォールドでは 骨軟骨異形成症という遺伝性疾患が存在します。
こちらも併せて公式HP内の「保険金をお支払いできない事例」や保険約款・重要事項説明書を確認し、加入後に発症した先天性疾患が補償されるかしっかり確認しましょう。
猫がなりやすい病気である「腎臓病」や「膀胱炎」は長期もしくは複数回の治療が必要になる疾患です。また「尿結石」は症状が重い場合、外科手術を伴う高額治療が必要になる傷病です。
そのため、猫には「通院・手術・入院を補償するフルカバー型のペット保険」に加入することがおすすめです。
しかし、猫は腎臓病等の慢性疾患になりやすいのに対し、そこまで手術の可能性は高くありません。そのため猫にはフルカバー型の中でも通院補償が他社より手厚いペット保険に加入することをおすすめします。
【通院治療費】
・年間平均診療費 : 272,598円
・平均診療単価 : 9,329円
・年間平均通院回数 : 15.2回
参考:アニコム損保「家庭どうぶつ白書2019」
参考:猫との暮らしとお金「猫が慢性腎臓病になったときにかかる費用はどれくらい?」
(あくまでも統計による平均なので一つの参考資料として見てください)
ほとんどのペット保険が一年契約となっており、契約を毎年更新していくことで終身の補償となっています。
つまり、ペット保険に加入すると毎年契約更新の審査があります。
中には「前年度にかかった傷病や慢性疾患」等の、特に治る見込みが少ない、再発の可能性が高い慢性疾患を、更新の際に「来年度から補償の対象外とします。」と条件を付け加えてくる保険会社があります。
もちろん中には「更新の際に条件を付け加えることはありません」といった記載をしているペット保険もあります。
猫がなりやすい「腎臓病」や「泌尿器間疾患」は慢性疾患のため、かかってしまったら一生の付き合いが必要な病気です。
加入を検討しているペット保険会社の「更新時の対応」についても必ず確認することをおすすめします。
また、ペット保険比較アドバイザーではそういった情報も一つの記事内でまとめていますのでぜひ一度ご確認ください。
最後に、今回ペット保険比較アドバイザーではスコティッシュフォールドにおすすめのペット保険をご紹介します。
おすすめの理由としては上記で説明した猫及びサイベリアンのペット保険の選び方、ポイントや条件をすべて満たしているからです。
アニコムでは保険金請求回数に応じた保険料割増制度ありますが、「腸内フローラ測定」を年一で行えるため、猫の死因ランキング1位である腎不全の予防までできる他、外出しずらい猫には有効な健康チェックです。
ただし、細かい補償内容や金額についてはもちろん違いがありますので必ず重要事項説明書や保険約款、パンフレットや公式HPを確認してください。
あくまで参考ですが、そもそも病気にさせたくないと考える飼い主様にはアニコムがおすすめです。
ちなみに、気になる保険料を条件が近いプラン同士で比較すると、保険料が高い順に①アニコム、となります。※0~15歳までの保険料の総額
メリット | デメリット | |
・歯科治療も補償 ・「腸内フローラ測定」等の予防型サービスも付帯 ・通院は一日当たり14,000円×年20日まで補償(補償割合70%プラン) | 保険料が高い 保険金請求回数に応じた保険料割増制度あり |
引用:重要事項説明書
ペット保険は、加入する前に発症している先天性疾患は補償の対象外となります。
そのため、病気になってから保険に加入しようとしても、肝心のその病気の治療費は補償の対象外になってしまいます。
また、加入後に発見できた病気であっても先天性疾患を補償の対象外としているペット保険や、慢性疾患にかかると更新できない保険もあります。
また一般的にペット保険では8~12歳で新規加入年齢を設定していることがほとんどです。早いところでは7歳で新規加入を締め切るペット保険もあります。
「健康なうちに加入しないと意味がない」「また年齢制限に引っかからないから保険の選択肢が広がる」という意味で遅くとも7~8歳までにはペット保険の加入、少なくとも検討をすることをおすすめします。
補足ですが、アニコムやプリズムコールではシニア向けのペット保険商品もあります。しかし保険料も高くなり、補償内容のグレードも普通のプランより下がってしまいます。
高齢・シニア向けのペット保険については下記の記事でも解説していますのでぜひ参考にしてください。
ペットには公的な保険制度がありません。そのため治療費の自己負担額は100%です。
もしもの時に、お金を気にせずペットの治療に専念できるよう健康なうちにペット保険に加入することをおすすめします。
また、病気になった後では加入を断られる可能性があります。
ペット保険比較アドバイザーでは、ペットに合った保険の選び方やペットの健康に関するお役立ち記事を公開しております。
記事と合わせて比較表も活用することで、ペットと飼い主様に合った保険を選ぶことができます。
また、保険会社のデメリット等も理解できるので、後悔しないペット保険選びができます。
ペット保険への加入を検討されている方はぜひご活用ください。
今回、ペット保険比較アドバイザーでは